PhaseGear - 旧バージョンとの比較

1. よりスマートな設計思想

PhaseGearと比べてそれ以前のバージョンは処理が複雑でした。「中間データ」と呼ばれる内部形式を用いており、そのために僅かながら音が劣化する問題もありました。そこでPhaseGearでは設計を一から見直し、中間データを経由せずダイレクトに周波数データを制御するタイムストレッチ/ピッチシフト処理を実現しました。これによって音の劣化要因がなくなり、音質が向上しただけでなく、シンプルでスマ ートな設計により処理速度も大幅に向上しています。

2. 向上した処理速度

スマートな設計に生まれ変わったPhaseGearは、旧バージョンと比較して最大約2倍も処理が高速です。

3. 最適化されたパフォーマンス

前出のグラフでも明らかなように、旧バージョンは高速再生時に処理負荷が増大する傾向がありました。PhaseGearでは、再生速度に応じて常に最適なタイミングで周波数解析を実行するように改良されており、高速再生時でも処理負荷は変わらず、低速再生時はより詳細な解析をもとに高品質な処理が可能となっています。 更に、音質の向上を図るため、等倍速時における周波数解析の時間分解能を旧バージョンの2倍に設定しました。本来は処理負荷が2倍に増大しますが、設計のスマート化によって負荷を抑えながらこれを実現しています。

4. 音源を選ばない変換処理

PhaseGearは旧来のバージョンでも幅広い音源に対して高品質に変換処理を行うことができました。しかし、より良い出力を得るためには、音源に応じた設定が必要でした。 例えば、ナレーションにはナレーション向けの設定を、音楽には音楽向けの設定を、といった具合です。 PhaseGearでは、そのような設定はいっさい必要なくなり、入力されたオーディオ信号は自動的に最適な状態で処理されます。ナレーションでも、音楽でも、それらが混ざったような音源でも、常に最適でハイクオリティな出力が得られます。

5. 音声マスキング機能のインテグレート

音声マスキングとは、入力オーディオ信号から音源の位置を割り出し、特定の音源だけを抜き取ったり隠したりする、当社が独自に研究開発した技術です。 これまで「タイムストレッチ/ピッチシフト」と「音声マスキング」は別の技術として存在していましたが、音声マスキングをPhaseGearの処理の一部として盛り込みました。これらを統合することにより、別々に処理をする場合と比較して処理速度と音質が向上しました。

English