DTM マガジン 2004年8月号 Vol.122

DTM INFORMATION・製品情報
初心者にも使いやすいモジュラーシンセとして、ビバオール斎藤氏 によるレビューが掲載されました。

 
DTM マガジン 2004年8月号 Vol.122
DTM INFORMATION・製品情報 より抜粋
TEXT:ビバオール斎藤 氏


パッチング操作は簡単!


~前略~

 「モジュラーシンセって難しい・・・」といった印象を持つ人も多いと思うが、VOIDのパッチング・システムは、「IN(入力)」と「OUT(出力)」の表示や、色分け(INは赤色、OUTは青色)など、一目で分かるように工夫されているのがうれしい。また、ケーブルの表示は、「通常」「スケルトン」など4パターンがあり、作業に応じた使いやすいパターンを選べる。
 このように、シンセ初心者にも使いやすい工夫がされているので、意外と簡単にモジュラーシンセを組み立てることができる。


モジュラーエフェクトが魅力

 VOIDの魅力は、なんといってもエフェクト・モジュールを組み込めるという点!
  一般的なエフェクトとしては、「リバーブ」「コンプレッサ」などがあり、特殊なエフェクトとして、最近の定番「ローファイ」「ボコーダ」も用意されている。
  例えば、「ディレイ・モジュール」の「TIME」と「FEEDBACK」のパラメータを外部からコントロールすれば、VOIDでしか出せない、面白いモーフィング・サウンドを得られるし、また、ピッチ・チェンジャー系エフェクトの「Dyn. Pitch モジュール」では、外部から「Pitch」のパラメーターをコントロールすれば、スクラッチ・サウンドやスペーシーな効果音を生み出せる。

Delay

Dynamic Pitch
Shifter

バージョン1.5の改良点

 1.5にバージョンアップし、新たに「SHX」というバーチャル・アナログ・シンセ・モジュールが追加された。
 VCOのレンジが2'~32'であることや、5種類の波形を搭載していること、そしてツマミ/スライダーの形状など、外観がモノフォニック・シンセ「Roland SH-2」によく似ており、SHファンにはタマラナイ感じ!
画面を大きく使いたいモジュラーシンセだからこそ、スタンドアロンに対応してほしい!という感じはあったが、今回それが実現されたわけだ。
 さらに、外部音声入力機能を装備しており、贅沢なエフェクタとしても使えるので、ライブ・パフォーマンスなどにも使用できるだろう。


バーチャル・アナログ・シンセ・モジュール「SHX」


WAVプレイヤー、スピーチ機能が強力

 通常のモジュラーシンセにはついていない、VOID独自の機能として「WAVプレイヤー」と「スピーチ機能」がある。
 「SWP」というWAVプレイヤーは、WAVファイルを読み込ませて、ターンテーブルの部分をマウスで動かすことで「シュワ、シュワ」とリアルなスクラッチ・サウンドを再生できる。
 スピーチ機能「TTS」は、言葉を入力するとボイスを発してくれる、テクノなモジュール。


膨大な音色を管理するための音色一覧メニュー


~中略~

 ちなみにチェックに使用したパソコンは、Pentium4 2.4GHzだったが、CPU負荷はそれほど気にならなかった。
 全体的なバランスはまだまだ進化途中といった印象なので、操作性の向上、モジュールの追加などを含め、次回のバージョンアップには、さらに期待が持てそうだ。


ビバオール斎藤:テクノ~ミニマルからテクノポップまで~を主食に、世界の珍味を探求するマッド・プロフェッサー。また映像作家としても異彩を放つ。

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