アニメ調 CG の作り方第 2 回「Pencil+ マテリアルの使い方」(Maya 編)

この記事では Pencil+ マテリアルの基本的な使い方と、オブジェクトへの割りあて方法を解説します。

1 Pencil+ マテリアル
- 1-1 マテリアルとは？
- 1-2 VRoid Studio
  - 1-2-1 Maya にファイルを読み込む
2 Pencil+ マテリアルの使い方
- 2-1 Maya ソフトウェアレンダラに変更する
  - 2-1-1 レンダラの変更手順
- 2-2 Pencil+ マテリアルを作成する
  - 2-2-1 マテリアルの作成と割り当て手順
  - 2-2-2 レンダリング手順

1 Pencil+ マテリアル

マテリアルの概要説明と、VRoid Studio から出力したモデルを Maya に読み込む手順を解説します。

1-1 マテリアルとは？

マテリアルとはオブジェクトがどのように見えるか指定する機能です。3DCG ではガラス、金属、プラスチックなど身の回りにある質感を再現するためにマテリアルを使用します。「Pencil+ マテリアル」はノンフォトリアリスティックレンダリング表現に特化したマテリアルです。Pencil+ マテリアルには手描きのような表現に役立つ様々なアトリビュートが搭載されています。目的の表現にあわせて必要なアトリビュートを設定します。

このチュートリアルでは VRoid Studio から出力したサンプルモデルに Pencil+ マテリアルを適用していきます。

マテリアル適用前のモデル（画像左）と Pencil+ マテリアルを適用したモデル (画像右)

1-2 VRoid Studio

VRoid Studio※ は VR/AR コンテンツ向けのアバター作成用のソフトです。ゲームのキャラクターメイクのようにスライダーを使用した簡単な操作でキャラクターをモデリングできます。このチュートリアルでは VRoid Studio に含まれている CC0 ライセンスで配布されているモデルを使用させていただきます。

https://vroid.com/studio

※「VRoid」は日本国及びその他の国におけるピクシブ株式会社の商標または登録商標です。

VRoid Studioのキャラクターカスタマイズ画面

1-2-1 Maya にファイルを読み込む

VRoid Studio のモデルは、VR 向け 3D アバターファイルフォーマットの .vrm 形式で出力できます。Maya は .vrm 形式を直接読み込むことができないので、ゲームエンジンの「Unity」を使用して FBX 形式に変換します。変換方法は UniVRM を使用して Unity に .vrm ファイルを読み込み、Unity の FBX Exporter を使用して .fbx 形式として保存したものを Maya に読み込みます。

VRoid Studio から出力したファイルは全て三角ポリゴンになっています。モデルにサブディビジョンサーフェスを適用したいので、ポリゴンを四角形にして Pencil+ の機能を使用しやすいようにモデルを編集しました。

四角形ポリゴンに変更したキャラクターメッシュ

2 Pencil+ マテリアルの使い方

Pencil+ マテリアルを作成して、オブジェクトに割り当ててレンダリングする方法を解説します。

2-1 Maya ソフトウェアレンダラに変更する

Pencil+ マテリアルを使用するには、Maya のレンダラを変更する必要があります。

Maya は Arnold、Maya ソフトウェア、Maya ハードウェア、Maya ベクターなど複数のレンダラを備えています。Pencil+は Maya ソフトウェアレンダラで動作します。

以前は Maya ソフトウェアがデフォルトのレンダラでしたが、Maya 2017 から Arnold がデフォルトのレンダラになりました。このため Pencil+ を使用する場合は Maya ソフトウェアに変更する必要があります。

2-1-1 レンダラの変更手順

[レンダー設定]ウィンドウを開きます。
[使用するレンダラ]をクリックし、[Maya ソフトウェア]を選択します。

Maya ソフトウェアレンダラに変更する手順

使用するレンダラに Maya ソフトウェアレンダラを設定

これで Pencil+ マテリアルをレンダリングできるようになりました。

2-2 Pencil+ マテリアルを作成する

Pencil+ マテリアルを作成してオブジェクトにマテリアルを割り当て、レンダリングする手順を解説します。

2-2-1 マテリアルの作成と割り当て手順

ビューポートで、マテリアルを割り当てるサーフェスを選択します。
[ハイパーシェードウィンドウ]を開きます。
[作成]タブの[Pencil Material]をクリックしてノードを作成します。
[ハイパーシェードブラウザ]の PencilMaterial ノードを右クリックして、マーキングメニューから[マテリアルを選択項目に割り当て]を選択します。または、ハイパーシェードのマテリアルスウォッチのマテリアルかシェーダグラフのノードを中マウスボタンでドラッグして、ビューポートのサーフェスにドロップします。