この記事では Pencil+ マテリアルのハイライト、不透明度、レンダーエレメント出力の設定方法を解説します。
目次
1 ハイライトを設定する
Pencil+ マテリアルでハイライトを設定する方法を紹介します。セル画調の質感を設定する場合、ハイライトを表現するには 2 つの方法があります。
- ハイライト機能を使用する方法
- ゾーンカラー マップとしてハイライトを設定する方法
最初の方法は、Pencil+ 4 マテリアルの[基本設定]ロールアウトにあるハイライト領域の機能を使用する方法です。
ハイライトは 3ds Max 標準マテリアルと同じく[鏡面反射光]や[光沢]を使用してハイライトを設定できます。ハイライトはカメラとライトの位置関係やオブジェクトの形状によって形が変化します。
ふたつめの方法は、テクスチャにハイライトを描き込む方法です。「ゾーンにマップを割りあて」と同じ要領でハイライトをテクスチャに描き込みます。
現在のアニメでは、キャラクターの場合ハイライトの表現にテクスチャを使用する傾向があります。車やロボットの場合はハイライト機能を使用している作品が多いように見えます。アニメではキャラクターはハイライトが常に変化してしまうと 3DCG 特有の立体感が出てしまい好ましくないようです。アニメ以外のゲームや CG 映像ではハイライトが変化する表現を多く見ることができます。目標とする表現に合った設定方法を使用してください。
今回のキャラクターでは現在主流になっている方法である、テクスチャにハイライトを描き込む方法を採用します。
1-1 ハイライト機能の紹介
ハイライト機能を使用したい場合に備えて、 いくつか機能を紹介したいと思います。
1-1-1 シャープネス
[シャープネス]を使用すると、セル画のように境界がはっきりしたハイライトを設定できます。1-1-2 スカッシュ
[スカッシュ]を使用すると、ハイライトがオブジェクトの外側に移動し押しつぶされたような効果を加えることができます。フレネル反射を強調するような表現に最適です。1-1-3 回折効果
[回折効果]はオブジェクトの側面からライトを当てたようなハイライトを生み出します。[範囲]と組み合わせて使用します。ハイライトを表現する 2 つの方法を紹介しました。どちらの方法を使うかは目標とするアートスタイルによって変わります。好みに応じて活用してください。
次は Pencil+ マテリアルを使用して、透明な質感を設定する方法を紹介します。
2 不透明度を設定する
Pencil+ マテリアルで透明な質感の設定方法を解説します。今回のキャラクターモデルでは使用しませんが、ガラスのように透明なマテリアルを作成できます。
Pencil+ マテリアルで透明な質感を設定する場合は、[基本マテリアル]の[不透明度]を使用します。
2-1 不透明度を設定する手順
- マテリアルエディタで[基本マテリアル]に設定されているマテリアルを選択します。
- [不透明度]を変更します。
- 必要に応じて[両面]をONにします。
レイトレースや反射/屈折 マップのような特殊なマップを使用する場合は、「ゾーンと基本マテリアルをブレンドする方法」と同じようにゾーンの[合成方法]や[ブレンド量]を変更してください。
3 レンダーエレメント
レンダーエレメントの使用方法を解説します。レンダーエレメントは Pencil+ マテリアルのみ個別の画像に出力する機能です。
アニメーションスタジオでは 3ds Max の Render Elements を使用してマテリアルとラインを別々の画像に出力し、After Effects などのコンポジットソフトで合成して最終的な映像作品に仕上げます。
レンダリング画像を分けると管理が必要になるファイルは増えますが、レンダリング後に色を調整したり細かな変更がしやすくなります。
3-1 レンダーエレメントの使用手順
- [レンダリング設定]ダイアログを開きます。
- [Render Elements]タブの [追加...]ボタンをクリックします。
- [レンダリング要素]ダイアログ ボックスで、[Pencil+ 4 マテリアル]を選択してOKボタンを押します。
- レンダリングを実行します。
レンダーエレメントでは[マテリアル ID チャンネル]や[オブジェクト ID]を組み合わせて使用することで、任意のマテリアルやオブジェクトごとに分けた画像を出力できます。また、ゾーン、ハイライト、反射、マップなど要素ごとに分けて出力できます。
レンダーエレメントはマスク用の画像作成にも便利です。コンポジットで必要なレイヤー構成に合わせて活用してください。
4 Pencil+ マテリアルのまとめ
キャラクターモデルに Pencil+ マテリアルを設定してレンダリングした結果、セル画調のレンダリングが得られました。
使用する色が増えるとマテリアルの数も増えます。一通り質感を設定した後にライティングしたとき、ゾーンの位置やハイライトの強さを調整したくなることがあるかも知れません。そのような場合は Pencil+ Spreadsheet を使うと、まとめてマテリアルを編集できて便利です。
次の記事
次の記事ではPencil+ マテリアルに関するよくある質問を紹介します。Pencil+は3ds Maxの機能やレンダラーと上手く協調しています。3ds Maxの機能を理解すると、より品質の高いレンダリングイメージを作成できます。